稚鮎を時雨煮にしました。
鮎は僕が川魚の中で一番好きな魚です。天然の鮎は藻を食べているので一口食べると藻の香りが口の中に広がります。
よく「スイカの香りがする」と言います。それは生の時の匂いですね。
余談ですが、日本料理で鮎をお皿に盛り付けるときに、頭は左というのは魚を盛り付ける時の基本なんですが、川魚と海魚では違うことがあります。
「海腹川背」といい海の魚は腹を手前にして盛り付け、川の魚は背を手前にして盛りつけます。これは川の魚ですよ。これは海の魚ですよとお客様に伝えていたんですね。
今は行なっていない所も多いと思います。
稚鮎は春から初夏にかけてが旬なんです。この稚鮎が川を上り秋には成魚となります。
稚鮎の時はプランクトン(動植食)を食べ、少し大きくなると藻(植物食)と食べるようになります。
今回は新生姜をたっぷり入れ煮上がりに火を止めてからふぁっと叩いた木の芽を混ぜました。一晩冷蔵庫で寝かせていただきます。
口に入れた瞬間、木の芽の香りが口の中に広がり、噛むと新生姜の辛みと味が広がり、その後で鮎独特の苦味が広がってきます。何とも味の三重奏です!
その時を逃さずに冷酒を放り込みます。
「うまい・・」
思わず笑みが溢れます。
お酒が飲めてよかった。幸せのひと時・・。1日の疲れが吹っ飛ぶ瞬間です。
お酒の酒肴はご飯のお供です。お酒を飲まない人はご飯と一緒に。食べ過ぎること請け合いです。
「時雨煮」という調理法は一時雨が降ってすぐに止む時雨のように短時間で煮ることを言います。元々は三重桑名のハマグリを煮たものを「ハマグリの時雨煮」とどこぞのお坊さんが名付けたそうです。その後、その調理法全般に使うようになったそうです。
さて、そろそろ調理にかかります。
稚鮎はさっと水で洗ってざるで水をよく切っておきます。
稚鮎 300g
新生姜 50g(千切り)
木の芽 1パック
鍋に
清酒 90cc
濃口醤油 25cc
たまり醤油 15cc
砂糖 50g
唐辛子 少々
を入れて沸かし新生姜を入れます。
再度湧いてきたら鍋の温度が下がらないように、稚鮎を数回に分けて入れます。
この時に箸などでかき回すと、稚鮎が崩れてしまうので気をつけてください。
全部入れたら、アルミホイルで落し蓋をし煮詰めます。
汁がなくなれば出来上がりです。